前回に続き、今回も『スチールベルトとは』の溶接ベルトタイプをお話し致します。
今回は設計上のアドバイスです。
ベルトには数多くの種類があります。ゴム・樹脂・タイミング・Vベルトなど。しかし、どれも最小プーリ・ローラ径を決めています。
スチールベルトも例外ではなく、むしろ他よりも気をつけなければならない重要項目です。
始めに、その辺りから説明します。
まず、溶接ベルトタイプのスチールベルトには次の関係があります。
D=t×700 プーリ径(D)、板厚(t)
この数値はあくまで目安であり、倍率700は用途、条件により600倍、500倍などに変更もできます。
なぜ、このような数値が必要なのか。
次の2つの図をご覧ください。
▲図1 引張り応力-伸びの曲線
上図は、金属を引張り試験機に掛けて引っ張った時の荷重と伸びの関係です。
スチールベルトはすべてバネ鋼を使用します。溶接部があるとそこは溶接時の熱影響を受け、強度も弱いので、母材部より低い数値で破断することがわかります。
ちなみに、ステンレスは軟鋼のようなとんがった所(上降伏点)が現われません。
▲図2 疲労特性
上図は、スチールベルトをある応力条件で回転させた時破断する回数をプロットしたものです。
点の個数がサンプルで、曲線が描かれます。
これをS-N曲線といいます。
数百万回辺りで水平になり始め、1千万回を超えると水平になります。この回数を超えると永久寿命になります。●→印は未破断です。
スチールベルトを検討する場合は、まずこの数値を目標として設計をします。
この数値の目安が700倍です。
曲げ回数は少ない場合は600、500とします。
この場合は打ち合わせを要します。
このように弊社では様々な素材の溶接条件で、疲労特性のデータを保有しています。
スチールベルトの検討で板厚とプーリ径が決まればあとはそれが製作できるかになります。
このように、スチールベルトとは板厚を最優先で決めることから始まります。
スチールベルトの厚さは0.05t~1.2mmまで揃えています。どのような用途にどの厚みを適用するかは経験上で決まることが多く、ここがお客様が選定しにくいスチールベルトの難しさです。
しかし、弊社の実績は多く、ご検討内容については経験豊富なアドバイザーがご相談いたします。
その時は詳しい内容までお聞きしますが、最善のご使用状態をアドバイスする観点からご協力お願いします。
そして、お客様に信頼される品質で納入させて頂きます。
次回の『スチールベルトとは』シリーズは『溶接ベルトタイプのパーフォレーションスチールベルト』についてです。
過去の スチールベルトとは (1) ベルトについて
スチールベルトとは (2) ベルトの種類その(1)
スチールベルトとは (3) ベルトの種類その(2)
もご覧ください。
今後もスチールベルトのディムコを宜しくお願い致します。